中東閑雅Chūtō Kanga
リヤドの新星

Dining ・ 11 MAR 2026

リヤドの新星

Riyadh's New Culinary Voice

石油の国というイメージの先に、いま独自の食文化が育ちつつある。

サウジアラビアが観光ビザを一般開放したのは2019年。以来、首都リヤドの食のシーンは驚くほどの速度で変化している。伝統的な「カブサ」や「ジャリーシュ」といった家庭料理を、フランスや日本で修業したシェフたちがフレンチやモダン懐石の技法で再構築しているのだ。

訪ねたレストランのシェフは、東京の割烹で二年間修業した経験を持つ。「出汁の考え方をラクダ乳のバターに応用してみた」と語る一皿は、繊細な塩味と発酵の香りが層になっていた。素材への敬意という点で、サウジ料理と日本料理には共通する哲学があると彼は言う。

この国の食文化はまだ世界的にほとんど知られていない。しかしその「無名さ」こそが、いま最も面白い創造の土壌になっている。