
Fashion & Beauty ・ 22 AUG 2026
What Is KAYALI? The UAE Fragrance Brand Expands Layering Into Body Care
UAE発のフレグランスブランドKAYALIが、Yum Lip & Body Collectionを発表。Mona Kattanが育ててきたブランドの歴史、中東の香りを重ねる文化、2025年の独立、そしてボディケア進出の意味を追う。
Dubaiで生まれたフレグランスブランドKAYALIが、香水の外へ踏み出した。
2026年8月28日、KAYALIは初の本格的なボディ&リップケア「Yum Lip & Body Collection」をKAYALI.comとSephoraでグローバル発売した。
新たに加わるのは、Silk Soufflé Body CreamとCashmere Kiss Lip Balm。
モチーフとなるのは、ブランドを代表するYum Boujee Marshmallow | 81とYum Pistachio Gelato | 33だ。
今回の新商品は、単なるカテゴリー拡張として見るよりも、KAYALIがこれまで大切にしてきた「香りを重ねる」という思想を、香水のボトルの外へ広げる動きとして見る。
KAYALIとは——Dubaiから生まれたフレグランスブランド

KAYALIは2018年、Dubaiで生まれたフレグランスブランドだ。
立ち上げたのは、姉妹のHuda KattanとMona Kattan。
姉のHudaは、世界的なコスメブランド「Huda Beauty」の創業者としても知られる人物で、KAYALIは最初、そのHuda Beautyの香水ラインという位置づけでスタートした。
以来、ブランドの顔として育て上げてきたのが妹のMonaである。
ブランド名の「KAYALI」は、アラビア語で「私の想像」を意味する言葉に由来する。
その名前が示すように、KAYALIが最初から大切にしてきたのは、ひとつの完成された香りをそのまま纏うことだけではない。
異なる香りを重ね、自分だけの組み合わせをつくること。
KAYALIでは、この考え方を「fragrance layering」と呼んでいる。
ウード、ムスク、ローズ、アンバー。
中東では、複数の香りを身体や衣服に重ねたり、バフールなどを使って空間そのものに香りをまとわせたりする文化が長く存在してきた。
KAYALIは、その中東の香り文化を、現代のグローバルなフレグランス市場へ翻訳したブランドのひとつと言える。
Mona Kattanとは

KAYALIを理解するうえで欠かせないのが、共同創業者でCEOのMona Kattanだ。
Monaは姉のHuda KattanとともにKAYALIを立ち上げた一方、自身は長年にわたり香水への強い関心を持ち続けてきた。
数千本規模の香水を所有するコレクターとしても知られ、香りを単なる美容製品ではなく、記憶や感情、自己表現と結びつけて考えてきた。
その個人的な情熱から生まれたのがKAYALIだった。
ブランドは当初、Huda Beautyの一部として展開されていた。
しかし2025年、KAYALIは大きな転換点を迎える。
2025年2月、KAYALIはHuda Beautyから独立し、Monaと投資会社General Atlanticが共同オーナーとなった、単独のフレグランス企業になった。Monaは引き続きCEOとしてブランドを率いている。
自らの名前と世界観を持つグローバルなフレグランスブランドとして次の段階へ進んだ瞬間でもあった。
香水のその先へ——Yum Lip & Body Collection
その独立後に現れた次の大きな動きが、今回のボディケア進出だ。
Yum Lip & Body Collectionでは、香水だけではなく、ボディクリームとリップバームを通して香りを重ねる。
肌を整える。
香りのあるボディクリームを使う。
その上から香水を纏う。
さらにリップケアまで、同じ香りの世界観でつなげる。
KAYALIは、香水を身支度の最後につけるものではなく、身体全体で積み重ねていくものへと広げようとしている。
価格は、米国ではSilk Soufflé Body Cream 48ドル、Cashmere Kiss Lip Balm 24ドル。UAEではBody CreamがAED 559、Lip BalmがAED 99というローンチ価格が伝えられている。
UAE在住なら、KAYALI公式サイト(UAE版)とSephora UAE公式サイトのKAYALIブランドページから購入できる。
中東の「香りを重ねる文化」
日本では、香水は身支度の最後に一吹きするものとして捉えられることが多い。
一方、湾岸地域では香りはもう少し広い。
身体。衣服。髪。家。客人を迎える空間。
香りは生活のさまざまな場所に存在する。
複数の香水を重ねることも珍しくない。
KAYALIの「layering」という思想は、こうした中東の香り文化と強く響き合っている。
今回のボディケア進出も、単に売る商品の種類を増やしたというより、「香りのある生活」をより広く提案する動きとして見ることができる。
デーツやザクロ——処方の中にも見える地域との接点

Silk Soufflé Body Creamには、ヒアルロン酸に加え、KAYALI独自の「Dream Elixir」(デーツシードオイル、ザクロ果実エキス、ゴマ油、モリンガオイル、アーモンドオイル、オリーブオイルのブレンド)が採用されている。
もちろん、これらは中東だけで使われる美容成分ではない。
Dubaiから生まれたブランドが自らの世界観をボディケアへ広げる中で、デーツやザクロといった地域になじみのある素材が含まれていることには、ひとつの連続性がある。
香りだけではなく、処方の中にも小さな「場所の記憶」が見える。
世界展開の今、そして日本では

現在KAYALIは、米国を中心にSephoraの店舗網で正式に展開されているほか、公式サイトからも購入できる。UAEを含む中東でもSephora Middle Eastで取り扱われており、生まれ故郷であるDubaiでも手に入る。
ここ数年でKAYALIは、米国Sephoraで香水ブランドの売上1位になるほどの存在感を持つまでに成長した。SNSでの拡散力を武器に、フレグランス業界の中でもとりわけ勢いのあるブランドのひとつに数えられている。
一方、日本ではまだ公式な販売網がない。BUYMAなど海外通販の並行輸入や、フリマアプリでの取引を通じて手に入れているファンが中心で、「日本未上陸」の状態が続いている。それでも、香水好きの間ではSNSや個人ブログを通じて着実に知名度を上げてきたブランドでもある。
今回のボディケア進出とグローバル展開の勢いを考えると、KAYALIが日本に正式上陸する日もそう遠くないかもしれない。
UAE発ブランドが世界へ持ち出したもの

KAYALIの成長を考えるとき、興味深いのは、単に「Dubaiから世界的な香水ブランドが誕生した」ということだけではない。
ブランドが世界へ持ち出したもののひとつが、中東では自然だった「香りを重ねる」という感覚だからだ。
地域の文化をそのまま輸出するのではなく、世界中の人が自分なりに使える形へ翻訳する。
そして今、その思想は香水から肌へと広がり始めている。
KAYALIの次の章を象徴しているのは、ボディクリームそのものではないのかもしれない。
香りを「つけるもの」から、「重ねて生きるもの」へ。
その境界を少しずつ広げていることなのだ。